保健師の総括管理って?
労働衛生の基本要素は、「3管理」または「5管理」と言われております。
それぞれに保健師の業務をあてはめてみていきます。
3管理 保健師の業務
■ 作業環境管理 :職場巡視(環境メイン)、働き方の情報収集
■ 作業管理 : 〃(作業状況把握のメイン)
■ 健康管理 :健康診断、事後措置、保健指導、健康の保持増進(メンタルヘルス、
過重労働)
5管理 では以下2つが追加
■ 労働衛生教育 :健康教育、啓発活動、イベント企画・運営など
■ 総括管理 :上記の実施体制を管理(???)
総括管理以外の業務はイメージがつくかと思いますが、「総括管理」になると途端にイメージが
少なくなるのではないでしょうか?
総括管理を行うためのツールが「保健計画」になります。

WHOの定義では、「保健計画とは、保健上の目的を達成するための複数の代案の中から、最良の案を選ぼうとする組織だった意識的で継続な努力である」と示されています。
産業保健以外の領域でみてみると、自治体では「自治体保健計画」、学校保健では「保健室経営計画」という名称で、保健計画が位置づけられています。
そのなかでも、産業保健における保健計画は、労働衛生の基本要素の1つの総括管理に位置づけられていると読み取れます。
産業保健における、保健計画の策定の目的
・企業理念、事業所運営目標と連動した産業保健目標を立案し、実行するため
・関係者と共有し、合意をしたうえで運営をスタートできるためのツールとなる
保健計画でできることは、
・その事業所で保健師が求められている業務に対して目標を立て、実行プランを計画していく
・実施途中で、進捗共有を関係者と連携し、課題解決を図っていくためのツールとなる
・年度末で評価をし、課題を棚卸しができる。課題を優先付けし次年度への計画に組み入れることができ、
それはPDCA運営そのものとなる。
保健計画の策定、計画に基づく保健師業務の実施で得られること
・保健師の業務を目的のもと、実行するので、目標を見失わずに業務が遂行できる
・保健師業務を成果の評価単独だけでなく、プロセス評価が可能となり、成果の達成ができてないから、と
低い評価を受けずに済む
・保健師業務の繁忙・閑散期がわかり、上司と業務における相談がしやすい
・引継ぎ後も、前任者の目標やプロセスがわかるので、質を維持した産業保健が継続できる
(属人的な業務が防げる、前任者の取り組みがを不明であることを予防できる)
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私も、新人のときは保健計画に基づいて、業務ができていませんでした。詰みあがる健診結果の処理に
追われ、健診事後の処理と対応が単なる作業になってしまっていて、自身の業務の価値や目的を見失っていた時期もありました。
また、実績報告も「健診有所見」「再検査率」「数字改善」のデータ成果による報告のみ、でありそれが事業所の健康管理目標のどこにつながっているか、数字だけで語れないものがあるのに、、というモヤモヤを抱えていました。
そんなとき、師匠に教えてもらったのが「保健計画での保健師業務の遂行」です。
この手法に基づいて業務を進めていくと、保健師の仕事の見える化ができ、「保健師さんは何をしているの?」という質問は来なくなりました(笑)進捗や年度報告も計画に基づいて行うので、合意形成がしやすいです。
結果、事業所からの信頼もアップし、また自分も保健師業務の価値が明らかに実感できたことで、さらに
産業保健の魅力(沼)にハマっていきました。
1人職場や少数職場では、「保健師業務の進め方(OJT)」を教えてくれる先輩が不在だと
次のようなお悩みを抱えているのではないでしょうか?
✓業務ばかりが詰み上がり、何を目指しているのかわからなくなった
✓こんなに頑張っているのに、評価されない。保健師の仕事が見えない、といわれる。
✓会社から依頼される業務を引き受けていたら、アッという間にパンパンで、通常業務の健診事後対応がお
ざなりになってしまう。 残業が増えているが、業務の交渉ができない。
✓各業務が点となっていて、繋がっていないことは分かっていて、「これでいいのか」とモヤモヤする。
上記のようなお悩みは保健計画に基づく業務の遂行で解消できます。
それは総括管理に着手することとなります。
保健計画にトライして、さらなる保健師の成長をめざしていきませんか?
次回のサロンのテーマは「保健計画」です。
一緒に学び、成長できたら、と思います!ご参加お待ちしております。
(お知らせは後日お待ちください!)